認定NPO法人エデュケーションエーキューブ(福岡市)
2020年10月1日 掲載
令和2年(2020年)、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、社会活動の様々な面で自粛が余儀なくされましたが、子供の貧困に取り組む支援団体の活動にも大きな影響がありました。
福岡県福岡市を拠点に活動する認定NPO法人エデュケーションエーキューブの試みを紹介します。(2020年4月取材)
認定NPO法人エデュケーションエーキューブ(福岡市)は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため学校が休業し子供たちにも外出自粛が求められている間も、ビデオ会議システムなどを活用して、オンラインで学びの機会を提供し続けました。
エデュケーションエーキューブは普段、福岡県内3か所の教室を拠点に、経済的困難を抱えている家庭の子供たちを対象として学習塾・フリースクール・通信制高校などを展開しています。e-ラーニングを活用して生徒の理解度に合わせた個別指導を行ったり、プログラミング教育に力を入れたりするなど、学習支援にICT(情報通信技術)を活用しているのが特徴です。
新型コロナの影響による学校休業と外出自粛により普段通りの開校が難しくなったため、2020年4月7日から全面的に、ビデオ会議システムを用いたオンライン学習に切り替えました。生徒と講師スタッフは全員在宅のままで、パソコンやスマホを用いてインターネット経由で双方向の授業を行っています。端末を持っていない生徒にはタブレット端末を貸し出すなどして、30人の生徒のうち約20人が参加しました。午前は講師スタッフがタブレットでホワイトボードやプリントを示して学習を行い、午後は歯科医や米国在住日本人、芸能界で活躍するアイドルなど多彩なゲスト講師を招き、インタビューやクイズを取り入れて勉強や仕事に関心を持ってもらう授業を行うなど、工夫を凝らしています。
「ただ、生徒の自宅の通信インフラが不十分だったり、生徒自身がオンライン学習に不安があったりするため、全員参加に至っていないのが残念です」と、草場勇一代表理事は語ります。
パソコンやスマホを子供が所持しているとは限りませんし、通信量の制限が厳しい場合も少なくありません。また、スマホの小さな画面では講師の表情や白板の文字が見にくいなどの課題もあります。
ですが草場代表理事は、オンライン学習に手ごたえを感じています。
「ニューヨークやサンフランシスコ在住の方にゲストで参加してもらったり、大学教授に大学や企業にしかない高倍率顕微鏡を使ったクイズ大会をしてもらったりできるのは、オンライン学習ならではの強みです。新型コロナによる外出自粛という厳しい状況でも、私たちが目指す『学びも遊びも止めない』ことを実現できています」 エデュケーションエーキューブでは、オンライン学習の説明会を4月19日に(これもオンラインで)開催したところ、7組の親子が出席し、うち4組が体験参加を決めたそうです。
「いろいろ課題はありますが、さらに工夫を重ねて、経済的背景に関係なく、全ての子供たちの学びの機会を広げていきたいですね」と草場代表理事は語りました。